井上ひさしさん 西鶴で文楽の新作 豊竹咲大夫さんと約束(毎日新聞)

 劇作家、井上ひさしさん(4月9日、75歳で死去)が1年前、文楽大夫の豊竹咲大夫さん(66)と新作を書く約束を交わしていたことがわかった。約束では来年、西鶴を題材にした作品を発表する予定で、咲大夫さんは「残念の一言に尽きます」と大劇作家の早過ぎる死を惜しんでいる。

 昨年6月15日、東京で行われた日本芸術院賞の授賞式で咲大夫さんは井上さんと初めて会った。井上さんはモリエールの「守銭奴」を基に義太夫「金壺親父恋達引(かなつぼおやじこいのたてひき)」を72年に発表。ラジオやテレビで放送された。咲大夫さんも出演していたことを告げると、井上さんはびっくり。咲大夫さんが「文楽の新作を書いてください」と頼むと「2年先ぐらいなら書きます」と快諾。咲大夫さんがさらに「西鶴の作品は文楽にないので、何か西鶴で」と言うと、「そうですか。西鶴を勉強し直してみましょう」と話したという。

 翌16日、咲大夫さんが「2年先をお忘れなく」とファクスすると、井上さんから17日、返信のファクスが届いた。「二年先をめざして、西鶴その他を勉強しなおして、笑って笑って、しまいには泣くような物語と、力強くてしなやかでリズムに豊(と)んだ日本語を実現できるようがんばります」などと意欲あふれる文章がつづられていた。

 咲大夫さんは国立劇場とも相談し心待ちにしていた。そこへ突然の訃報(ふほう)。「びっくりしました。永六輔さんは『井上さんはそんなファクスはめったに送らない人だ』とおっしゃっています。作品は幻になってしまいました」とファクスを大切に保存している。【宮辻政夫】

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